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ユネスコ「世界の記憶」の申請を行いました。


 8月28日、被爆作家によって被爆直後に書かれた資料を、広島市と共同でユネスコ「世界の記憶」に申請しました。

 タイトルは、「グラウンド・ゼロの記憶—8月6日、被爆作家の記録」とし、概要は次の通りです。

 

 1945年8月6日、原子爆弾が広島市に投下された。申請資料6件は、人類史上最初の被爆地、すなわちグラウンド・ゼロとなった広島で被爆した4人の文学者、栗原貞子、原民喜、峠三吉、大田洋子が、文学者としての使命感から、被爆時あるいは被爆直後に被爆の惨状を伝えようと書き綴った直筆の記録である。広島文学資料保全の会の長年の調査を通じて、被爆時あるいは被爆直後の文学者による直筆資料は、申請資料6件以外には知られていない。

 

 2人の女性を含む4人の文学者は、占領軍による報道管制(プレス・コード)の下、申請資料を手掛かりに、詩、小説などの優れた文学作品を発表し、核兵器使用の非人道性を訴えた。これらの作品は、人類が忘れてはならないグラウンド・ゼロの記憶となり、原爆被災の真実を伝える「原爆文学」というジャンルを創出した。

 

 4人の文学者の作品は多くの言語に翻訳され、世界で広く読まれている。原爆文学の原点である申請資料は、核時代における人類への警告としての役割を果たしており、核兵器廃絶と世界恒久平和を訴える重要な記録物である。

 

 

 

 これまで「追加予定」としていました大田洋子『屍の街』自筆原稿についても、所蔵する公益財団法人日本近代文学館様のご協力を頂き、正式に申請しました。また、「広島文学資料保全の会」ホームページにて公開しましたので、ご覧ください。ただし、掲載された画像データを無断で複写・転載することは禁止しております。画像データの二次利用を希望される場合は、日本近代文学館にお問い合わせください。

大田洋子『屍の街』自筆原稿:https://bungaku-data.jimdofree.com/unesco/shikabane/