日本近代文学館訪問


左から、成定薫(幹事)、池田正彦(事務局長)、土屋時子(代表)、水島裕雅(顧問)、江刺昭子(作家)。撮影は河口悠介(事務局次長)。(敬称略)
左から、成定薫(幹事)、池田正彦(事務局長)、土屋時子(代表)、水島裕雅(顧問)、江刺昭子(作家)。撮影は河口悠介(事務局次長)。(敬称略)

 11月4日、ユネスコ「世界の記憶」(国際登録)申請のための打ち合わせで、日本近代文学館(東京都目黒区)を訪問しました。

 日本近代文学館には、大田洋子の小説『屍の街』の自筆原稿が保管されています。『屍の街』は、自身も被爆した大田洋子が被爆直後の広島の惨状のありのままを綴ったものであり、プレスコードによる規制の中、被爆から5年後の1950年5月30日に発行されました(初版が1948年に発行されたが、規制を考慮し、出版社の意向で部分削除を行っており、その2年後の再版で完全な形となり、『屍の街』への想いを綴った「序」も収録された)。

 

 「広島文学資料保全の会」では、これまでに2回(2015年、2021年)、被爆したその日に限りなく近い時期に記録を綴った文学資料のユネスコ「世界の記憶」登録を目指し申請しました。来年(2023年)、3度目の挑戦となりますが、これまでの申請のときには辞退されていた大田洋子のご遺族の方から「ぜひ『屍の街』の自筆原稿もお願いします」との申し入れがありました。そのご意向に沿って、来年(2023年)の「世界の記憶」に大田洋子資料も追加したい旨を確認し、そのために具体的に今できること、できないことについて話しました。

 

 今回の訪問には、作家で、大田洋子の評伝『草饐(くさずえ)―評伝大田洋子』(第12回田村俊子賞受賞)を執筆した江刺昭子さんも駆けつけてくださいました。